決めるのは楽しい
相変わらず歩みは遅いながらも、着々と録音のスケジュールが決まっていって私はうれしい。
子供のころ読んだ、一般応募のショートショートを集めた、星新一監修の「ショートショートの広場」の中にこんな話があった。
「色男、金と力はなかりけり」というが、その青年は美貌とともに財力も兼ね備えていたものの、力はなかった。みたいな始まり方で、悪魔を呼び出して力をもらおうというストーリー。
悪魔を呼び出して、力をくれ、とお願いする青年。
悪魔に「力といってもいろいろあるけど何が欲しい?腕力、権力、超能力、財力?」と言われて、青年は「力にも色々あるのか、財力は持ってるし……」と延々と悩み続けてしまう。
ああだこうだと、何の力を得るか決められない青年にあきれた悪魔が、「じゃあ、お前にぴったりの力をやろう」と青年に力を与える。
特に体に変化がないので、青年が「何の力をくれたのだ?」ときいたら悪魔が去り際に「決断力だよ」と言って消えていった。
当時子供だった私は、他の力とくらべてつまらないものをもらったなあ、と思いましたが、今になって思うと悪魔もナイスチョイスだったといえるのではないだろうか。決める力って大事ですよね。
このように、決断力は現代のビジネスパーソンにとって、もっとも求められる「力」といえるだろう。(原)